新緑が眩しい季節となりましたが、この時期は４月に新生活をスタートさせた人たちの中に環境に適応できずに「五月病」が起こる季節でもあります。学生時代に資格を取得し、社会に出たら資格を生かし直ぐにバリバリ働けると思っています。でも、実際は、そうではありません。社会には自分が目指す素敵な先輩たちがいらっしゃいます。その方たちも初めから順風満帆だった訳ではないのです。大学を出て大手保険会社に夢を抱いて入社した男性が配属され与えられた仕事は、シュレッダーでした。何をするところかと言うと文字通り毎日沢山の資料をシュレッダーすることです。毎日、いろいろな部署から破棄する書類が運ばれてきます。破棄する書類を置いていく人たちはそこに人がいても無言で置いていくそうです。そこで、その男性は「どうしたら、この仕事が楽しくなるのか」を考えたのでした。まずは、自分から来る人に声をかけてみようと思い「おはようございます」「こんにちは」と…。すると無言で置いて行った人たちも挨拶をしてくれるようになり、「これ、よろしく」とか「ありがとう」の声を頂けるようにもなりました。そして、楽しそうに仕事をしている男性のところに飲み物を差し入れしてくれたりと、いつの間にかみんなのくつろぎの場になっていました。噂を聞いた社長も訪れるようになり、結果、その男性は営業へ配置転換となりました。『面倒だから、しよう』渡辺和子著の中の「不本意な出来事に向き合うには」の章に『この世に“雑用”という名の用はない。用を雑にした時に生まれる。』（「つまらない」と思いながら生きる時間は、つまらない人生になってゆく）。この男性は皆が“雑用”と思うシュレッダーの仕事を“雑用”と思わなかったのではないでしょうか。楽しい人生にするために、どんな用（仕事）でも心をこめて行っていこうと思います。